EAT | 白インゲン豆とほうれん草のカレー

理由は個人によるけど、カレーが嫌いな人もいる。
カレーは僕達日本人にも馴染みが深い料理の一つで、
人それぞれ唯一無二の思い出があるはずである。
バーモントカレー、ジャワカレー、星の王子様など
カレールウを使用した母の味、おふくろの味。
チルドパックを温めた学生時代の味、というのもあるか。
しかし僕にとっての思い出のカレーは
かつて留学していたイギリスの、1999年のカレーである。
インターネットもろくに繋がらない当時、
右も左も分からないままイギリスに留学した僕は
あっという間にホームシックにかかり、
語学学校が終わればパディントンの駅に座りながら
行き交う人を眺めて一日を過ごし、
週末は蚤の市に出かけ、何を買うでもなく一日中、
そこでも人を眺めて過ごすといった、
今思えば勿体のない不毛な日々を送っていた。
(仕送りだったので、両親ごめん。)
お金もなかったので、4,5ポンドで買うことの出来る、
アルミに包まれたお皿に山盛りに盛られるチャイニーズや、
カレー、チップスを食べるのが日課であった。
着色料で赤や黄に染まったそれらは決して美味しいものでは
なかったけれど、ずらりと祭りの様に並ぶ屋台で選ぶ時間は楽しかったし、
定位置で頬張りながら行き交う人々を眺めた日常は
16年経った今でも鮮明に、自分の青春時代として思い出す事ができる。
今では僕もインド街やアラビック、中華街と足を運んで
本格的な味を楽しむ事が出来るけれど、
買付けの合間に一息つきながら
屋台の味を頬張ることはやめられない。
そんなことをふと思い出して今日はカレーを作った。